洗浄剤, スーパークリーナR-10, 大掃除, メンテナンス, 工作機械, 防錆, 油汚れ, クーラントタンク 【年末大掃除】工作機械を傷めない!正しい洗浄剤の選び方と頑固な油汚れの落とし方

【年末大掃除】工作機械を傷めない!正しい洗浄剤の選び方と頑固な油汚れの落とし方

【年末大掃除】工作機械を傷めない!正しい洗浄剤の選び方と頑固な油汚れの落とし方
サイト管理者

洗浄のプロが教える!機械精度を守るためのケミカル洗浄テクニック

年末が近づくと、機械加工の現場では大掃除の計画が立てられます。一年間稼働し続けた工作機械に感謝を込め、蓄積した油汚れやスラッジをきれいに落として新年を迎えたいものです。しかし、良かれと思って行った清掃作業が、実は機械の寿命を縮めたり、精度低下の原因になったりしているケースが少なくありません。

「頑固な汚れだからと、強力な家庭用洗剤を使っていませんか?」「塗装が剥がれたり、ゴムパッキンがブヨブヨになったりした経験はありませんか?」。工作機械は、金属、塗装、ゴム、樹脂など様々な素材で構成された精密機械です。汚れを落とすことだけを考えて洗剤を選ぶと、これらの素材を傷め、予期せぬトラブルを招くことがあります。

この記事では、切削油剤メーカーであり、ケミカルのプロフェッショナルであるサンワケミカルが、工作機械を傷めずに頑固な汚れを落とすための「正しい洗浄剤の選び方」と「洗浄テクニック」を解説します。今回は特に、工場内のあらゆる汚れに対応できる当社の「スーパークリーナRシリーズ」の実力を交えながら、機械の精度を守りつつ美観を取り戻すための完全ガイドをお届けします。

1. 洗浄の落とし穴:不適切な洗剤が機械に与えるダメージ

洗浄の落とし穴:不適切な洗剤が機械に与えるダメージ
洗浄の落とし穴:不適切な洗剤が機械に与えるダメージ

工作機械の洗浄において最も重要な原則は、汚れを落とすこと以上に、「機械の構成部品を傷めないこと」です。安易に家庭用洗剤や強力な溶剤を使用することは、機械の塗装、シール材、そして重要な摺動面に不可逆的なダメージを与えるリスクがあります。

身近にある洗剤や、洗浄力が強いだけの溶剤を安易に使用することのリスクについて解説します。

機械を壊す「NG洗浄」の具体例

1. 塗装剥離と錆の発生

一般的に市販されている強力な油汚れ用洗剤(マジックリンなど)や、強アルカリ性の業務用洗浄剤は、工作機械の塗装面に対して攻撃性が強すぎることがあります。これらを原液で使用したり、長時間付着させたままにしたりすると、塗装が変色したり、最悪の場合は塗膜が膨潤して剥がれ落ちてしまいます。塗装が剥がれた金属面は無防備になり、そこから急速に錆が発生します。

2. パッキン・シールの膨潤と劣化

工作機械には、クーラントや潤滑油の漏れを防ぐために、ニトリルゴム(NBR)などのゴム製パッキンやシール材が多数使用されています。シンナーやアセトンなどの有機溶剤、あるいは特定の界面活性剤を含む洗浄剤は、これらのゴム素材を攻撃し、膨潤(ブヨブヨに膨らむ)させたり、硬化させてひび割れを起こさせたりします。シール機能が失われれば、油漏れやクーラントの電気系統への侵入など、重大な故障に繋がります。

3. 摺動面の油膜破壊

ベッドやガイドウェイなどの摺動面は、潤滑油(摺動面油)によって形成された油膜で保護されています。ここに脱脂力の強すぎる溶剤や洗剤を使用すると、必要な油膜まで完全に洗い流してしまい、金属同士が直接接触する状態になります。この状態で機械を動かすと、かじりや異常摩耗が発生し、機械精度が致命的に損なわれます。

本章では、不適切な洗浄剤の使用が、機械の塗装、シール材、摺動面に深刻なダメージを与えるリスクについて解説しました。機械を守るためには、汚れを落とす力だけでなく、素材への攻撃性を考慮した洗剤選びが不可欠です。

2. 用途別・洗浄剤の選び方:機械外面、タンク内部、床

用途別・洗浄剤の選び方:機械外面、タンク内部、床
用途別・洗浄剤の選び方:機械外面、タンク内部、床

工場内の汚れと一口に言っても、機械の塗装面、バクテリアが繁殖するクーラントタンク、安全性が求められる床では、求められる洗浄性能が全く異なります。用途に合わせて最適な洗浄剤を使い分けることが、効率的かつ安全な大掃除の秘訣です。

場所ごとの汚れの特性と、それに適した洗浄剤の選び方を解説します。

場所ごとに求められる洗浄性能の違い

1. 機械外面用(塗装面)

機械のボディやカバーに付着した切削油のミスト汚れや、手垢などを落とすための洗浄剤です。 求められる性能は、塗装面やアクリル窓、操作パネルの樹脂などを傷めない「素材への優しさ」です。pH値が高すぎない(中性~弱アルカリ性)もので、かつ油汚れを素早く浮き上がらせる浸透性の高い界面活性剤を含んだタイプが適しています。研磨剤入りのものは傷の原因になるため避けます。

2. クーラントタンク内部用(スラッジ・バクテリア)

タンク内部には、切削油の劣化成分、微細なスラッジ、そしてヘドロ状になったバクテリアの塊(バイオフィルム)が付着しています。 ここでは、物理的な汚れを落とす洗浄力に加え、配管内部に潜む菌を死滅させる「殺菌力」が重要になります。一般的に「システムクリーナー」と呼ばれる、洗浄成分と殺菌成分が配合された専用の洗浄剤を使用します。循環させることで配管の奥まで洗浄できるタイプが推奨されます。

3. 床用(床滑り防止)

床の油汚れは、転倒事故の原因となるため、徹底的な脱脂が必要です。 コンクリートや塗り床など、機械本体よりも耐薬品性が強い素材が多いため、比較的洗浄力の強いアルカリ性洗剤が使用できます。重要なのは、油を乳化・分散させて再付着を防ぎ、ヌルつきを完全に除去する能力です。また、泡立ちすぎるとすすぎが大変になり、かえって床が滑りやすくなるため、「低発泡性」または「消泡性」のある洗浄剤を選ぶと作業効率が上がります。

本章では、機械外面、タンク内部、床という3つのエリアごとに、洗浄剤に求められる性能の違いを解説しました。機械には優しく、タンクには殺菌力を、床には強力な脱脂力をというように、適材適所の選定が重要です。

3. サンワケミカルの推奨洗浄剤と「強さ」と「優しさ」の両立

サンワケミカルの推奨洗浄剤と「強さ」と「優しさ」の両立
サンワケミカルの推奨洗浄剤と「強さ」と「優しさ」の両立

私たちサンワケミカルは、切削油だけでなく、それを取り巻くメンテナンス製品も開発しています。中でも、工場のあらゆる汚れに対応できる万能洗浄剤として推奨しているのが「スーパークリーナ R-10」です。「強力な洗浄力」と「環境・人体への優しさ」を両立させた、プロ仕様の洗浄剤です。

市販の汎用洗剤とは一線を画す、当社の主力洗浄剤「スーパークリーナ R-10」の特長と活用法をご紹介します。

スーパークリーナ R-10 の特長

1. 素早い汚れ除去で時間を短縮

特殊界面活性剤の働きにより、工場内の頑固な油汚れを素早く浮き上がらせて除去します。清掃にかかる時間と労力を大幅に節約できるため、忙しい年末の大掃除に最適です。

2. 工場内の洗浄剤をこれ一本に統一

洗浄力が高く、工場内のあらゆる油汚れに効果を発揮します。

  • 対象
    鉄系金属、プラスチック、機械設備、床、壁など
  • 汚れ
    焼入油、切削油、防錆油、グリース、タイヤ痕など 用途ごとに洗剤を使い分ける必要がなくなり、在庫管理もシンプルになります。
3. 環境と人に優しい設計

「地球にやさしく。働く人にやさしく」をコンセプトに、リンやホウ素を含まない環境負荷の少ない設計です。また、PRTR法(化学物質排出移動量届出制度)にも非該当であり、法令遵守や環境マネジメントの観点からも安心してご使用いただけます。

4. 希釈使用による圧倒的な経済性

原液を水で薄めて使用する濃縮タイプのため、非常に経済的です。汚れの度合いに応じて10倍から200倍まで希釈できるため、コストを気にせずたっぷりと使用できます。

希釈倍率の目安と使い分け

汚れの状況に合わせて、以下のような倍率で希釈して使用します。

  • 20倍~50倍
    加工油の洗浄、通箱の洗浄
  • 30倍~100倍
    工場フロアー洗浄、機械周り洗浄
  • 10倍~30倍
    モップについた油汚れ、換気扇の油汚れ
  • 100倍~200倍
    工作機械の全体洗浄、窓ガラスの汚れ落とし

本章では、サンワケミカルの「スーパークリーナ R-10」をご紹介しました。機械を知り尽くした切削油メーカーだからこそ作れる、強力かつ安全な洗浄剤を選ぶことで、リスクなく確実に汚れを落とすことができます。

4. 実践テクニック:クーラントタンク内部の効率的な清掃手順

実践テクニック:クーラントタンク内部の効率的な清掃手順
実践テクニック:クーラントタンク内部の効率的な清掃手順

クーラントタンクの清掃は、単に液を入れ替えるだけでなく、配管内部まで循環洗浄を行い、汚れと菌を根こそぎ除去することが重要です。この手順を間違えると、せっかく新液を入れてもすぐに腐敗してしまう原因になります。

プロが実践する、効率的かつ効果的なタンク清掃の手順をステップごとに解説します。

プロが実践するタンク清掃のステップ

1. 古液の抜き取りと物理的なスラッジ除去

まず、タンク内の古い切削油をポンプやバキュームで抜き取ります。液がなくなったら、タンクの底に堆積している切りくずやスラッジを、スコップやヘラを使って徹底的に掻き出します。タンクの隅やポンプの吸い込み口付近は汚れが溜まりやすいので念入りに行います。この「物理的な除去」が、洗浄の効果を大きく左右します。

2. 洗浄剤の投入と循環洗浄

タンクに水を張り、規定濃度のシステムクリーナー(または汚れに応じて希釈したスーパークリーナR-10)を投入します。そして、クーラントポンプを作動させ、機械の配管内部に洗浄液を循環させます。 機械内部のクーラントノズルから洗浄液が出る状態で、数時間から半日程度循環を続けます。これにより、普段は手が入らない配管内部やポンプ内部の汚れ、バイオフィルムを分解・洗浄します。テーブルやカバーの裏側などにも、かけ流しホースを使って洗浄液をかけ、ブラシでこすり洗いを行います。

3. すすぎ(リンス)の徹底

循環洗浄が終わったら、洗浄液を抜き取り、タンク内を空にします。その後、再度きれいな水を張り、ポンプを回して「すすぎ」を行います。 このすすぎ工程は非常に重要です。洗浄剤の成分がタンク内に残っていると、新しく入れた切削油の乳化バランスを崩したり、泡立ちの原因になったりすることがあります。水がきれいになるまで、必要であれば数回繰り返します。最後に水分を完全に拭き取るか、吸引して乾燥させます。

本章では、クーラントタンク清掃の具体的な手順を解説しました。物理的なスラッジ除去、洗浄剤による循環洗浄、そして徹底的なすすぎ。この3ステップを確実に行うことが、タンク内をリセットし、悪臭や腐敗を防ぐための鉄則です。

5. 清掃後の重要プロセス:残液処理と防錆油の塗布

清掃後の重要プロセス:残液処理と防錆油の塗布
清掃後の重要プロセス:残液処理と防錆油の塗布

大掃除の仕上げとして最も重要なのが、洗浄後の「水分の除去」と「防錆処理」です。きれいに洗った機械は、油膜が落ちて無防備な状態になっています。ここで適切な処置を行わないと、休暇明けに機械が錆だらけになっているという悲劇が起こります。

「洗って終わり」ではありません。機械を錆から守るための、洗浄後の必須プロセスを解説します。

洗浄後に必ず行うべき仕上げ作業

1. 洗浄剤成分の完全除去

前章でも触れましたが、洗浄剤の成分が残留していると、金属を変色させたり、新液の性能を低下させたりします。特にアルカリ性の洗浄剤を使用した場合は、中和や十分な水洗いが不可欠です。ウエスで拭き上げる際も、洗浄剤を含んだウエスを使い回さず、常にきれいなウエスを使用してください。

2. 金属素地面への防錆油(Rust Preventive Oil)の塗布

洗浄によって油汚れと一緒に「防錆油膜」も除去されてしまった金属面(テーブル、コラム、主軸テーパ部、バイスなど)は、空気中の酸素や水分と反応して非常に錆びやすい状態です。 洗浄・乾燥後は、直ちに**「防錆油」**を塗布してください。 指紋や微量な水分が残っていても錆の原因となるため、水を押しのけて金属表面に吸着する「水置換性」を持つ防錆油の使用を強く推奨します。スプレータイプや刷毛塗りで、薄く均一に塗布します。

3. 摺動面への注油

ガイドウェイなどの摺動面を洗浄した場合は、摺動面油(潤滑油)が洗い流されている可能性があります。機械の電源を入れ、強制給油機能を使って摺動面油を送り込み、摺動面全体に油を行き渡らせてから電源を切るようにしてください。

本章では、洗浄後の防錆対策の重要性を解説しました。洗浄剤成分の除去、水分の拭き取り、そして防錆油による保護。この仕上げ作業を確実に行うことで、機械を錆から守り、休み明けにスムーズに稼働させることができます。

まとめ

本記事では、年末の大掃除シーズンに向けて、工作機械を傷めずにきれいにするための「正しい洗浄剤の選び方」と「洗浄テクニック」について解説してまいりました。

重要なポイントは以下の通りです。

  1. 家庭用洗剤や強力すぎる溶剤は、機械の塗装やパッキンを傷めるため使用しない。
  2. 機械、床、部品洗浄など多目的に使える「スーパークリーナ R-10」のような、強力かつ安全な専用洗浄剤を選ぶ。
  3. タンク清掃は、循環洗浄によって配管内部まで洗浄し、すすぎを徹底する。
  4. 洗浄後は、速やかに水分を除去し、防錆油を塗布して錆を防ぐ。

正しい知識と道具を使って行えば、大掃除は単なる「清掃」ではなく、機械の寿命を延ばし、精度を維持するための重要な「保全活動」となります。ピカピカになった機械で、気持ちよく新年を迎えましょう。

サンワケミカルでは、今回ご紹介した「スーパークリーナ R-10」をはじめ、機械に優しく洗浄力に優れた各種洗浄剤や、タンク清掃用のシステムクリーナー、水置換性防錆油などを取り揃えております。汚れの種類や機械の材質に合わせた最適な製品選定のご相談も承っておりますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。


サンワケミカル株式会社は、長年の経験と技術に基づき、多種多様な切削油剤を開発・製造しております。お客様の加工条件やニーズに合わせた最適な製品をご提案いたしますので、切削油に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

もし、この記事で紹介した対策を試しても問題が解決しない場合や、お使いの切削油に関するより詳細な情報、お客様の特定の加工に最適な油剤の選定についてご相談がありましたら、どうぞお気軽に私たちサンワケミカル株式会社までお問い合わせください。経験豊富な専門スタッフが、お客様の状況を詳しくお伺いし、最適なソリューションをご提案いたします。

サンワケミカル株式会社HP:http://sanwachemical.co.jp/
サンワケミカル株式会社お問い合わせ:http://sanwachemical.co.jp/contact/
サンワケミカル株式会社公式X:https://x.com/sanwachemical

今後も、金属加工の現場で役立つ情報を発信してまいりますので、サンワケミカル株式会社公式ブログにご期待ください。

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サンワケミカル株式会社 鳥居省吾
サンワケミカル株式会社 鳥居省吾
副社長
金属加工油剤の営業一筋21年。常に「お客様の立場」を第一に考え、課題解決に誠実に取り組むことで、多くの企業様と長い信頼関係を築いてまいりました。「信頼の輪が大きな幸せを生む」という経営理念のもと、今後もお取引先様の発展と働く方々のお役に立てるよう努めてまいります。 趣味はサッカー。プレミアリーグを現地で観戦したい。
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