防腐剤を入れてもクーラントの臭いが戻る原因とは?悪臭対策で見るべき5つのポイント
防腐剤を入れてもクーラントの臭いが戻る原因とは?悪臭対策で見るべき5つのポイント
「クーラントの臭いがなかなか取れない」
「防腐剤を入れたのに、数日するとまた臭ってくる」
「休み明けに工場へ入ると、タンク周辺から嫌な臭いがする」
水溶性切削油を使っている現場では、こうした臭いの悩みがよくあります。臭いが強くなると、作業者の不快感だけでなく、清掃の手間、更液頻度、廃液費用にも影響します。経営者や工場管理職の方にとっても、クーラントの悪臭は現場だけの小さな問題ではありません。
ただ、臭いが出たからといって、すぐに「液が腐っている」と決めつけない方がよい場合があります。腐敗による臭いもありますが、浮上油の劣化、濃度やpHの乱れ、油剤そのものの性質が原因になっていることもあります。
防腐剤を入れても臭いが戻る場合は、臭いの原因を順番に切り分けてみてください。この記事では、サンワケミカルが現場で確認していただきたいポイントを、できるだけ実務に近い形で整理します。
1. クーラントの臭いは、まず原因を分けて見る
クーラントの臭いが取れないときは、腐敗、浮上油、液管理の3つに分けて確認してみてください。
現場では、臭いが出ると防腐剤を追加したくなると思います。もちろん、防腐剤が必要な場合もあります。ただ、臭いの原因が菌ではなく、混入した潤滑油の劣化や、濃度管理の乱れだった場合、防腐剤だけでは臭いが戻ってしまうことがあります。
1. 腐敗による臭い
代表的なのは、嫌気性菌が活動して出る腐敗臭です。機械が止まり、液の循環も止まると、タンク内の酸素が不足しやすくなります。そうすると、酸素が少ない環境で活動しやすい菌が増え、卵の腐ったような臭いや、ドブのような臭いが出ることがあります。
この臭いは、週明けや長期休暇明けに目立ちやすいです。詳しい仕組みは、休み明けに臭わない切削油の悪臭対策でも解説しています。
2. 浮上油や混入油の劣化による臭い
見落とされやすいのが、工作機械から混入した潤滑油などです。クーラントがこうした他油を抱き込むと、液中で油分が劣化し、腐敗とは違う臭いが出ることがあります。
菌数が少ないのに臭う場合や、防腐剤を入れても臭いが消えない場合は、他油の混入や劣化を疑ってみてください。サンワケミカルの分析事例でも、臭いの原因が腐敗ではなく、他油の劣化だったケースがあります。詳しくは切削油の腐った卵の臭いを分析した事例をご覧ください。
3. 濃度やpH管理の乱れによる臭い
クーラントは、適正な濃度とpHを保つことで、防錆性、潤滑性、洗浄性、耐腐敗性を発揮します。濃度が低すぎると防腐性や防錆性が不足しやすくなり、pHが下がると菌が増えやすい状態に近づきます。
反対に、濃度を上げすぎると、ベタつきや泡立ち、液切れ不良につながる場合があります。臭い対策として原液を足す前に、濃度計やpH試験紙で今の状態を確認してみてください。
この章の要約
クーラントの臭いは、腐敗だけでなく、浮上油の劣化や濃度・pH管理の乱れでも発生します。まず原因を分けて見ることで、防腐剤だけに頼らない対策が取りやすくなります。
2. 腐敗臭が続くなら、浮上油と酸素不足を見る
腐敗臭が続く現場では、タンク内の酸素不足と浮上油の蓄積を確認してみてください。
水溶性切削油は、循環している間は液中に酸素が取り込まれます。しかし、機械が止まると液の動きがなくなり、タンク底部から酸素が不足しやすくなります。さらに液面に浮上油が残っていると、空気中の酸素が液に入りにくくなります。
1. 浮上油は液面にふたをする
浮上油は、機械の潤滑油などがクーラントに混入し、液面に浮いたものです。これが厚く残ると、液面にふたをしたような状態になります。
酸素が入りにくくなると、臭いが出やすい環境になります。防腐剤を足す前に、まず液面の浮上油を確認し、できる範囲で取り除いてみてください。
2. スラッジは菌の隠れ場所になる
タンク底にたまった切粉、砥粒、汚れ、ヘドロ状のスラッジは、菌が増えやすい場所になります。液面だけを見るときれいに見えても、タンク底に汚れが残っていると、そこから臭いが戻ることがあります。
定期的なスラッジ除去は、単なる清掃ではありません。液の寿命を延ばし、臭いを出にくくするための基本的な管理です。
3. 停止前に循環させておく
休み明けの臭いを抑えたい場合は、停止前にタンク内をできるだけきれいにし、浮上油を取り除いておきます。可能であれば、休みに入る前に液をしっかり循環させ、タンク内の状態を整えておくと臭いの発生を抑えやすくなります。
臭いが出てから消すだけでなく、臭いが出にくい状態を作る。ここを意識してみてください。
この章の要約
浮上油は液面にふたをして酸素不足を招きます。スラッジも菌の隠れ場所になります。臭いが戻る現場では、防腐剤の前に、浮上油、タンク底、液の循環を確認してみてください。
3. 防腐剤で改善しないときは液を見直す
防腐剤を入れても臭いが戻る場合は、クーラントそのものの他油分離性、耐腐敗性、液切れ性を見直すタイミングかもしれません。
防腐剤は、菌の増殖を抑えるための有効な手段です。ただし、液のバランスが崩れている場合や、臭いの原因が菌ではない場合には、期待したほど改善しないことがあります。
1. 他油分離性が低いと臭いが残りやすい
他油分離性とは、混入した潤滑油などをクーラントが抱き込まず、液面へ分離させやすい性質のことです。
他油分離性が低いクーラントでは、混入油が液中に細かく混ざり込み、回収しにくくなります。その油分が熱や空気の影響を受けて劣化すると、腐敗とは別の臭いにつながることがあります。
他油分離性に優れたクーラントであれば、混入油が液面に上がりやすくなり、オイルスキマーなどで回収しやすくなります。臭いの原因を液中に残しにくくするためにも、確認したい性質です。
2. 耐腐敗性は液寿命に関係する
耐腐敗性に優れたクーラントは、菌が増えにくい状態を保ちやすく、臭いの発生を抑えやすくなります。
もちろん、どのようなクーラントでも管理は必要です。濃度、pH、浮上油、スラッジの確認は欠かせません。ただ、油剤そのものの耐腐敗性が現場に合っていれば、日常管理の負担を軽くしやすくなります。
3. 液切れ性とベタつきも見る
液切れ性が悪いと、加工品や治具、機械周辺にクーラントが残りやすくなります。残った液が汚れを抱き込み、時間が経つことで臭いやベタつきにつながる場合があります。
作業着に臭いが残る、加工品がベタつく、機械周辺の清掃に時間がかかる。そうした現場では、臭いだけでなく液切れ性も見直してみてください。
この章の要約
防腐剤を入れても臭いが改善しない場合、原因は菌だけではないことがあります。他油分離性、耐腐敗性、液切れ性を確認すると、臭いが戻りにくい液環境に近づけやすくなります。
4. 臭い対策は、更液費用や清掃時間にも関係する
クーラントの悪臭対策は、作業環境の改善だけではありません。更液頻度、廃液費用、清掃工数、作業者の負担にも関係します。
臭いが強くなると、現場では早めに更液せざるを得ないことがあります。更液をすれば一時的に臭いは消えますが、液代、廃液処理費用、清掃時間、機械停止時間がかかります。これが何度も起きると、見えにくいコストが積み上がります。
1. 更液頻度が増えると廃液費用も増える
水溶性切削油は、使い終わった液を廃液として処理する必要があります。臭いが出るたびに全更液を行う運用では、液の購入費だけでなく、廃液処理費用も増えていきます。
臭いが出にくい状態を作れれば、液を安定して使える期間を延ばしやすくなります。更液の回数を見直すきっかけにもなります。
2. 清掃と補給の手間は現場の時間を使う
臭いが出る現場では、タンク清掃、浮上油回収、床清掃、機械周辺の拭き取りなどの作業が増えます。これらは直接加工している時間ではありませんが、現場の人手を確実に使います。
限られた人員で生産を回している現場では、清掃や補給にかかる時間も無視できません。臭い対策は、現場の時間を守るための管理でもあります。
3. 作業環境は人材定着にも関係する
臭いが強い、床がベタつく、作業着に臭いが残る。こうした環境は、作業者にとって負担になります。若手人材の採用や定着を考える企業にとっても、工場の空気や清潔感は見過ごしにくいポイントです。
悪臭対策は、単に臭いを消す取り組みではありません。働きやすい現場を作り、無駄な更液や清掃を減らすための改善活動として見てみてください。
この章の要約
悪臭対策は、液代だけでなく、廃液費用、清掃工数、機械停止時間、作業者の負担にも関係します。臭いを現場の不快感だけで終わらせず、トータルコストの問題として見てみてください。
5. 悪臭・手荒れ・ベタつきが続くならクーラントの切り替えも検討する
悪臭、手荒れ、作業着に残る臭い、加工品のベタつき、廃液費用に悩むようでしたら、悪臭対策型の水溶性切削液への切り替えを検討されてみてください。
サンワケミカルでは、「クーラントの臭いが取れない」「休み明けに工場が臭う」「作業着に臭いが残る」「手荒れが気になる」「廃液費用を減らしたい」といった現場の課題を解決するために、水溶性切削液スーパークールANSシリーズを展開しています。
1. 腐敗による悪臭を抑えたい
スーパークールANSシリーズは、腐敗による悪臭の抑制を目的とした水溶性切削液です。休み明けに臭いが出やすい現場や、タンク管理を改善しても臭いが戻りやすい現場では、液そのものの耐腐敗性が原因になっていることもあります。
2. 手荒れや作業環境にも配慮したい
臭いの問題だけではなく、作業者の手荒れに関しても配慮する必要があります。スーパークールANSシリーズは、肌への刺激にも配慮した設計になっているのも特徴の一つです。
もちろん、実際の適合性は、加工内容、濃度、被削材、使用環境によって変わります。製品名だけで判断せず、現場の状態を確認したうえで選定してください。
3. 他油分離性と液切れ性でベタつき対策
スーパークールANSシリーズは、他油分離性や液切れ性にも配慮されています。混入油を抱き込みにくく、加工品のベタつきを軽減しやすい設計ですので、臭い対策だけでなく、清掃負担や次工程への影響も抑えやすくなります。
実際にスーパークールANSシリーズを導入された事例はこちらからご覧ください。
悪臭対策だけでなく、補給量や工具寿命、作業環境の改善につながったケースもあります。
この章の要約
クーラントの臭いが取れない現場では、管理方法だけでなく、油剤そのものの性質を見直すことも必要です。悪臭、手荒れ、ベタつき、廃液費用に悩む場合は、スーパークールANSシリーズのような悪臭対策型クーラントも検討されてみてください。
まとめ
クーラントの臭いが取れないときは、防腐剤を追加する前に、原因を順番に切り分けてみてください。
まずは、腐敗による臭いなのか、浮上油や混入油の劣化による臭いなのか、濃度やpH管理の乱れによる臭いなのかを確認します。そのうえで、浮上油の除去、スラッジ清掃、液循環、濃度・pH管理を見直してみてください。
それでも臭いが戻る場合は、他油分離性や耐腐敗性に優れたクーラントへの切り替えを検討するタイミングかもしれません。
悪臭対策は、現場を快適にするだけではありません。更液頻度、廃液費用、清掃工数、補給量、作業者の負担にも関係します。
サンワケミカルでは、現場の液状態や加工条件を確認しながら、悪臭対策型の水溶性切削液を含めた改善策をご提案しています。クーラントの臭いがなかなか取れない、何度更液しても同じ問題が起きる、作業環境を根本から見直したいという場合は、ぜひ一度ご相談ください。
サンワケミカル株式会社は、長年の経験と技術に基づき、多種多様な切削油剤を開発・製造しております。お客様の加工条件やニーズに合わせた最適な製品をご提案いたしますので、切削油に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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